米国の東海岸大西洋に面したサウスカロライナ州にある港湾都市チャールストンは、南北戦争の発端となった歴史的な地として知られる。市内のチャースルトン通りには、300年の時を越えた歴史ある建築物が今でも当時の姿のまま美しく保存されている。アメリカの旧き良き時代の趣を楽しみながら散歩をするのに最適な街。新鮮なシーフードをはじめ、バラエティに富んだレストランも多い。ゴルフ場もあり、ビーチでは多彩なマリンスポーツが楽しめる。
フォート・ローダデイルはカリブ海クルーズの新しい玄関口として脚光を浴びている港町。「日光の輝く州(サンシャイン・ステート)」と呼ばれるフロリダの中でも、海と太陽をキャッチフレーズに全米から多くの観光客を集めているリゾートポートだ。ターコイズブルーの大西洋の波に洗われる東海岸だけでなく、セミノル族インディアンが居住する内陸西部など特徴豊かなフォート・ローダデールは、ユニークな動植物も見学できるのが魅力。内陸部には豊かな運河が流れ「アメリカのベニス」と呼ばれている。運河には多数の高級クルーザーが係留されている。また、全米でも有数の大型ショッピングセンターやアウトレットモールがあり、ファッションや家具などのお店が賑わっている。ゴルフ、競馬、自転車のためのワイルド・トレイルコースなどもあり、楽しみ方は多彩だ。
米国最南端の島キーウエストは、フロリダ半島の南西に延びるように点在するフロリダ・キーズ諸島の一番西の端に位置していて、島づたいに海の上を走るオーバーシーズ・ハイウェイ国道1号線で結ばれている。美しい浜辺とサンゴの海が魅力で、ダイビング、シュノーケリングの一大スポットとなっている。博物学者ジョン・J・オーデュポンや作家アーネスト・ヘミングウェイが晩年過ごした家や、熱帯魚水族館も見どころ。新鮮な魚介類を使ったシーフード、スパイシーなエスニックなどレストランも多い。また、キーウエストとっておきのデザート、キーライム・パイはライムジュースをクリームに練りこんだすっきりとした味わいで人気が高い。
フロリダ半島の南端に位置しているアメリカを代表するリゾートとして有名。太陽いっぱいのマイアミビーチと経済の中心という2つの顔を持っている。マイアミビーチにはアールデコ様式の建築が建ち並ぶアールデコ・ディストリクトがあり、CMのロケ地としても人気が高い。港から近いショッピングモール、ベイサイド・マーケット・プレイスには大小のショップが軒を連ね、オーシャンフロントのカフェやレストランもある。そのほか1000種類もの海洋生物が見られるフロリダ最大のマイアミ海洋水族館、世界遺産に登録されているエバーグレーズ国立公園なども見て回りたい。40万エーカーという広大な湿原の国立公園では希少種類の野鳥や野生のワニに出会えるかも。
テキサス州ヒューストンから南東約80キロに位置し、本土から3キロ沖合のメキシコ湾に浮かぶガルベストン島は、島全体がマリンリゾートとして開発されている。本土とはコーズウェイ橋で結ばれていて、ガルベストン市はテキサスへの海からの玄関口というべき港湾都市だ。各種のマリンスポーツが楽しめるだけでなく、スポーツフィッシングも人気だ。スペイン領、メキシコ領となった歴史があり、市名はスペイン統治時代の総督ベルナール・ガルベス伯爵に由来する。かつてのカリブの海賊の基地だったガルベストンには、当時をしのばせるシー・ウルフ・パーク(海賊公園)がある。市内には歴史的建造物のほか、豪華マンションやお城のような屋敷も多い。
フロリダの東海岸のほぼ中央に位置し、バハマ、カリブ海へのクルーズの出発港である。ディズニー・クルーズをはじめカーニバル・クルーズ、ロイヤル・カリビアン、ホーランド・アメリカ、ノルウェージャン・クルーズなど世界を代表するクルーズ運航会社が定期クルーズを展開している。6つの客船ターミナルがあり、大型クルーズ船が勢揃いする眺めは圧巻。港のはずれの入り江には、フィッシングポートの発着場、ヨットハーバーなどがあり、休日を楽しむ人々で賑わう。港の北側にはNASA(米国国家航空宇宙局)のケネディ宇宙センターがある。内陸へ車でおよそ40分ほどの距離にオーランドがあり、ディズニーワールド、エプコットセンター、ユニバーサルスタジオ、シーワールドなどのテーマパークが集まっている。
ルイジアナ州南東部、メキシコ湾に流れ込むミシシッピ川河口に広がるニューオーリンズは、米国でも有数の港町である。商業と観光の中心地でもあり、多くの観光客を集めている。17世紀以降、1803年に米国に入るまでフランスやスペインの統治下にあったことから、独自のクレオール文化が現在にまで残されている。旧市街はフレンチ・クォーターと呼ばれ、他の州とは異なるエキゾチックなたたずまいを見せる。ミシシッピ川を行き来する外輪蒸気船、ジャズのふるさと、テネシー・ウィリアムズの戯曲『欲望という名の電車』の舞台など、多彩な魅力を持つ歴史の町は音楽にあふれた町でもあり、バーボンストリートでは夜になるとブルーズ、ジャズ、ヒップホップなどさまざまな音楽が鳴り響く。ジャズフェスティバルのほかに毎年恒例で開催される謝肉祭「マルディグラ」には世界中から観光客が訪れてくる。
米領バージン諸島の南に位置するセントクロイは淡路島とほぼ同じ大きさの島。島内にはクリスチャンステッドとフレデリックステッドの2つの町がある。美しいビーチでのマリンスポーツのほかに2つのゴルフコースでプレイを楽しむことができる。コロンブスは2回目の航海時にセントクロイへの上陸を果たしている。その後、イギリスとフランスから移住が進み、さらにデンマークに領有されるという歴史を持つ。デンマーク時代の建物が今も残され、町の彩りとなっている。第一次世界大戦の折にアメリカがデンマークから買収し、アメリカの自治領となって現在に至っている。史跡としてクリスチャンバーン要塞、ガバメントハウス、ルーセンラン教会などがある。
160ほどの島々が連なるバージン諸島は、たびたび欧米列強の取り合いの場となってきた。現在では西側が米領、東側が英領となっている。セント・トーマスは米領の中でもリゾートとして知られ、首都シャーロット・アマリィにあるハーバーにはアメリカから多くのクルーズ船が寄港している。自然の残る美しい島として知られ、フリーポートなので免税品がとくに安いことでも人気だ。シャーロット・アマリィにはバージン諸島最古といわれる砦やデンマーク時代の教会、ユダヤ教のシナゴーグなどが残されている。ダイビングをはじめパラセーリングなどビーチでのアクティビティが充実しているほか、フィッシングやダイナミックな海越えのホールがあるゴルフ場もある。
アンティグアとバブーダという2つの島からなる面積442平方キロメートルの英連邦に所属する小国。アンティグア島にあるセント・ジョンズが首都になっている。熱帯の島特有の緑豊かな森があり、サトウキビ畑、バナナ畑、パイナップル畑などが広がり、白いビーチと美しい海が魅力だ。セント・ジョンズ・ハーバーへの海からのアプローチでは、英国統治時代の旧き良き時代を思わせる美しい街並みが眺められる。首都セント・ジョンズには、観光客のための免税店だけでなく、市民の生活の場である市場やショッピングセンターがあり、メインストリートはいつも人通りで賑わっている。市内には、英国国教会の教会、歴史博物館、北へ3キロメートルほどの距離にある、昔を偲ばせる砦の跡など見どころがある。
英領ケイマン諸島は、グランド・ケイマン、ケイマン・ブラック、リトル・ケイマンという3つの島からなり、中でも一番大きいグランド・ケイマンは珊瑚礁に囲まれた南国の楽園と呼ばれている。手つかずの自然と無数のダイビングスポットがあるリゾートアイランドとして、欧米を中心に多くの観光客を集めている。首都ジョージ・タウンは島の西側にあり、税関や政府関係施設があるほか観光客向けの免税店や ショップ、レストラン、ホテルが建ち並んでいる。数多いダイビングスポットの中でもエイと遊べるスティングレイ・シティが有名。餌付けをすると数十匹のアカエイ(スティングレイ)が集まってくるエキサイティングな体験が楽しめる。
カリブ海方東部に位置する小アンティル諸島のバージン諸島の東側を占めているのが英領バージン諸島(西側は米領)。約40の島々が点在しているが、人が住んでいるのはトルトラ島、バージンゴーダ島、アネガタ島などの16の島。面積約62平方キロメートルのトルトラ島にあるロードタウンが観光のメインスポットである。英国の雰囲気が漂う静かな町の散策や、ビーチでのサーフィンやダイビングなどマリンスポーツも楽しめる。自然の景観を保存した国立公園もあり、自然を満喫できるリゾート島だ。
英領バージン諸島のトルトラ島の西側に位置するバージンゴーダ島での醍醐味は、ダイビング。海中では大群の熱帯魚が、カリブの太陽を受けてキラキラと輝いている。バージンゴーダ島のザ・バスでは、太古の火山活動で海から隆起した岩が砂浜に剥き出しとなっていて、奇岩が幻想的な景観を作り出している。
オランダ領アンティルには、アルバ(Aruba)、ボネール(Bonaire)、キュラソー(Curacao)の3島があり、頭文字をとってオランダ領ABC諸島とも呼ばれている。一時独立を目指したものの、経営不振のため1994年からはオランダ自治領となっている。首都のオランヘスタードは小さな港町で、スペインやオランダ統治時代の建物を残すノスタルジックな雰囲気。白浜のビーチ、サンゴの海が魅力だ。陽気で明るい島の人々との出会いも楽しみなところ。トロピカルフルーツや民芸品が並ぶ青空市場は、船旅の疲れを癒やしてくれる。カリブの海賊から港を守っていたソートマン砦をアルバ博物館として、植民地時代の家具などを展示している。この砦は、その昔灯台の役目もしていた。
カリブ海に浮かぶ最大の島キューバの首都ハバナは、熱帯の楽園として多くの観光客が訪れる観光スポットだ。天然の良港が、キューバの輸出入の拠点となっている。キューバ革命以後、旧ソビエトに依存してきた経済もソ連崩壊により貧困に窮していたが、社会主義体制のまま観光誘致などに力を入れることにより、活気を取り戻している。新市街の都会にはレストランやショップが充実し、アメリカ車のオールドカーが走り回っているのもツーリストの目を楽しませてくれる。西側にある旧市街にはスペイン統治時代の歴史的な建造物が多く残されていて、サンタ・クララ修道院、レアルフエルサ要塞、モロ要塞など見どころもある。ハバナから東へ少し行ったコヒマルは、ヘミングウェイの小説『老人と海』の舞台になった場所として有名。公園にはヘミングウェイの像が建っている。日本との関わりでは、伊達政宗によって慶長遣欧使節として送り出された支倉常長がハバナに立ち寄ったとされていることから、旧市街のマレンコ通りにある日本庭園内に銅像が建てられている。
カリブ海に浮かぶ西インド諸島に属しているウィンワード諸島の最南端にあるグレナダは、グレナダ島とグレナディーン諸島南部の島々からなる。英連邦内の独立国で、首都はセント・ジョーンズ。グレナダ島は火山島で、山や谷が美しく多くの川が流れ、温泉や湖、観光スポットも多い。美しいビーチも多く、欧米からの観光客が訪れる人気の高いリゾートアイランドだ。雄大な自然の中のハイキングや、ビーチでのマリンスポーツが楽しめ、香辛料のナツメグ、シナモン、クローブなどの世界的な産地としても有名である。カリブの諸国同様、切手の発行が盛んで、グレナダでは蝶の種類が多く蝶の切手はコレクターの注目を集めている。羊の皮を張ったスチームドラムなど独特のリズムを刻むカリビアンミュージックを聴くことができる。
中央アメリカのエコツーリズムで知られるコスタリカ。太平洋岸のニコヤ湾に面した最大の港町プンタレナスにカルデラ港はある。コスタリカの海の玄関口として多くの旅行客でにぎわう町だ。首都のサンホセ、対岸のニコヤ半島、火山観光、自然探訪など楽しみ方は多彩だ。コスタリカの古代からスペイン統治時代に至るまでの歴史、自然や生物などがよく分かる海洋博物館はおすすめしたいスポット。エコツアーならプンタレナスから南東へ50キロほどの「カラーラ自然保護区」がある。熱帯雨林から乾燥林地帯までの幅広い生態が観察できるようになっている。コスタリカのビーチでは太平洋岸もカリブ海側もサーフィンのスポットとしても知られ、多くのサーファーが集まってくるリゾートだ。
自然保護区が多く動植物の宝庫として知られているコスタリカのカリブ海に面した商業港プエルトリモンはコロンブスが上陸した地としても有名。1502年にコロンブスがプエルトリモンに上陸したとき、住民が金の装飾品を身につけていたことから「裕福な海岸=Costa Rica」と呼ぶようになったといわれている。プエルトリモンは、コスタリカ最大の輸出港であり、バナナ、コーヒー、カカオの大集産地。市内のバルガス公園は熱帯の花々が咲く美しい公園で、公園内にはコロンブスの記念碑が建っている。民族歴史博物館には民俗土器などが展示され興味深い。ジャマイカから来た農園労働者の子孫が多く、街角でレゲエが流れている。10月に行われるカーニバルは見もので多くの観光客で賑わう。
コロンビアを代表するリゾートとして知られるカルタヘナの見どころは、欧米からの観光客が集まるビーチゾーンと、スペイン帝国時代の街並みが残る旧市街のコロニアル地区とに分けられる。旧市街は16世紀に築かれた石造りの街並みが美しく、当地を訪れた作家ガルシア・マルケスが世界で一番美しい街と称したほど。ユネスコの世界遺産にも登録されている。スペイン統治時代にはエメラルドと金の採掘もされていた。カリブ海に面したカルタヘナは、海賊に襲撃されることも度々で、湾の入り口には「サン・フェリペ・デ・バラハス要塞」などたくさんの要塞が築かれた。いくつかの要塞は地下トンネルでつながっているという。
モンテゴベイは英連邦ジャマイカの北西部に位置するモンテゴ川河口に開けた港湾都市。リゾート地でもあり、ゴルフ、ヨットなどのスポーツ施設も整っている。沖合のボグ島にはカキの養殖場もある。ビーチではドクターズケープやホワイトサンズが人気の高いスポットだ。市内にはイギリスの植民地時代にサトウキビで財を成した「グレート・ハウス」と呼ばれる富豪の豪邸が見られ、観光名所になっている。中でも総督として赴任したジョン・パーマーの邸宅は、「ローズホール・グレート・ハウス」と呼ばれる壮麗な白い建物で、館内をガイド付で見学するツアーもある。
観光立国として観光客誘致に力を入れているジャマイカ。その中でオーチョ・リオスは、ブルーマウンテン・コーヒー、レゲエミュージックのふるさとだ。ジャマイカを代表するリゾートの1つで、北側のほぼ中央に位置している。市内にはスペイン植民地時代の建物なども多く、ノスタルジックな雰囲気が漂う。民芸品店や免税店のマーケットやショップがあり、ショッピングも満喫できる。植民地時代に盛んに行われたサトウキビなどの熱帯植物を中心としたプランテーションは現在、観光用農園として人気のスポットになっている。島の中央部にそびえるブルーマウンテン山(標高2256メートル)からはいくつもの川が海に注いでいる。その一つ、ダンスリバーでは、緩やかな滝を登る、スリリングなツアーが人気だ。また、ホワイトリバーでは手作りのいかだを使ったいかだ下りが楽しめる。ビーチでのマリン・アクティビティとは一味違うリバー・アドベンチャーがオーチョ・リオスの魅力だ。
セントクリストファー&ネイビスは英連邦に属している立憲君主国。セントキッツ島(セントクリストファー島)とネイビス島という2つの島からなっている。セントキッツにあるバセテールが首都であり主要港である。小アンティル諸島にあり「南カリブ海の楽園」といわれている。セントキッツには標高1156メートルのミゼリー山がそびえ、明るい太陽と青い海が迎えてくれるマリンレジャーのパラダイスだ。海山とも自然が保護されていて、ハイキング、フィッシング、ダイビングに最適。また国際的なランク付けがされている格式のあるゴルフコースもある。
カリブ海小アンティルのウインドワード諸島に属するセントルシアは、16世紀初頭にコロンブスによって発見された火山島。スペイン、英国、フランスなどヨーロッパの国々の植民地となった歴史を持つ。豊かな自然に包まれ、野生のランや巨大なシダが群生し、セントルシア・オウムなど鮮やかな色の羽が特徴的な熱帯鳥が乱舞している。多くの果樹園ではバナナ、ココナッツ、マンゴー、パパイヤが栽培されていて島の特産品になっている。首都はマンゴーの実のような形をした島の西北に位置するカストリーズ。火山島特有の海岸から急峻な山がそびえるセントルシアの島にはいくつかのリーフがあり、シュノーケリングやダイビングに最適なスポットが多い。マリンレジャー、バードウォッチング、テニス、ゴルフ、火山火口見学など多彩な楽しみ方があるところが魅力だ。
ベネスエラ沖のトリニダード島とトバゴ島が主な島で、トバゴ島はトリニダード島の北東32キロに位置している。英連邦に属する共和国だ。海岸にはヤシの並木があり、白いビーチと美しいコントラストを描き出している。トバコ島は『ロビンソン・クルーソー』に出てくる島にそっくりなところから島の洞窟の一つが「ロビンソン・クルーソー・ケイブ」と名付けられた。自然と伝説の島である。カリブ海に突き出た半島に「ビジョン・ポイント」という美しいビーチがある。スカボローの丘の上にはキング・ジョージ砦があり、19世紀初頭の大砲が残されている。南米大陸に近く、アフリカ系黒人が多く住んでおり、ドラム缶を使ったスチールドラムの発祥の地といわれている。
パナマ運河は全長約80キロメートルにおよぶ開削式の運河で、大西洋側からの水路を通り、ガツン湖、ミラーフローレス湖を経由して太平洋側のバルボア港から太平洋に出る大西洋と太平洋の水位差を閘門(こうもん)で仕切られたロックで水位を調節しながら通過していく。約9時間におよぶパナマ運河通峡は、クルーズのハイライトシーンとして人気の高いイベントである。大西洋側のクリストバル港からパイロット(水先案内人)が乗り込んでリモン湾に入り、ガツンロックに向かう。ガツンロックでは3段階のロックで約26メートルの水位調節(上昇)をする。ロック内へのアプローチはタグボートが付き、ロック内では両岸に敷設された線路を走る機関車(三菱重工製)に曳航されていく。ガツン湖は、シャグレ川を堰きとめて造られた人造湖。ガツン湖を横断してゲイラード水路に入る。ゲイラード水路は、大陸の分水嶺である岩盤を掘削した水路で難工事を指揮したゲイラード大佐の名前にちなんで付けられた。ゲイラード水路を抜けるとペドロミゲルロックに入り、約9.4メートル水位が下げられ、ミラフローレス・ロックへ向かう。2つのロックを通過して太平洋への最終ポイントとなるバルボア港でパイロットが下船する。パナマ運河のロックの大きさは幅約33.5メートル、長さ約305メートルとなっていて、運河を通航できるサイズの船を「パナマックス船」といい、通航できないサイズを「オーバー・パナマックス」と呼んでいる。
バハマ連邦の首都ナッソーはニュー・プロビデンス島にある。カリブ海クルーズのリゾートアイランドの代表的な島だ。ナッソーには、バハマの全人口の半分近くの17万人が住んでいる。数ある海岸の中でも、ケーブルビーチとパラダイスビーチが有名で、ウィンドサーフィン、ダイビング、パラセーリングに行楽客の歓声が絶えない。空気が送られているヘルメットをかぶって海底散歩を体験できる水中スクーターも人気だ。その昔カリブの海賊を撃退するために築いたシャーロット砦には、当時の大砲が残されている。市内のストローマーケットではヤシの葉で編まれた帽子、籠などの民芸品が売られている。
フリーポートはナッソーに次ぎ、島の中では2番目に大きな都市。インターナショナル・バサールでの免税ショッピングや建ち並ぶレストラン、カジノは多くの観光客を魅了している。広大なガーデン・オブ・グローブや、ランド・ネーチャー・センターでは珍しい植物を、ルカヤン国定公園では鍾乳洞を見学できる。フリーポートの海岸にある海賊のテーマパークではカリブの雰囲気を満喫できる。
カリブ海の小アンティール諸島の東端に位置しているバルバドスは、広さが431平方キロメートルしかなく横浜市と同じくらいの面積の小国。1627年に英領となり、1966年に独立するまで英国支配を受けていた。リトルイングランドと呼ばれ、英国文化の影響が色濃く残る。バルバドスの首都ブリッジタウンは、2時間もあればすみずみまで見て回ることができる広さだ。コンスティチューション川にはいくつもの橋がかけられ、スタイリッシュな町並みが特徴だ。島の中央部のジャングルにはハリソン・ケープと呼ばれる鍾乳洞があって、トラムカーに乗って中を一周する。ライトに浮かび上がる鍾乳石の地底は幻想的なムードがいっぱいだ。島の南部のビーチリゾートは人気が高いスポットになっている。
キューバから連なる大アンティル諸島の島々の東方に位置し、モナ水道を挟んでドミニカ共和国と面しているプエルトリコは、カリブ海に浮かぶアメリカ合衆国の準州という位置付けになっている。このプエルトリコの首都機能を持つ都市がサンファンである。南カリブ海クルーズの発着港となっている。メトロポリタンと呼ばれる近代的な地区は、ニューサンファンともいわれ、国際空港や高級ホテルが集中する様子はアメリカの雰囲気。そこから3キロメートルほど離れるとオールドサンファンと呼ばれる地区があり、時代を感じさせる町並みはどこかスペインの古い町のような趣が漂う。オールドサンファンには、エルモロ要塞、サンホセ教会、サンファン大聖堂など歴史を伝える見どころがある。サンファンはマリンレジャーのほか、アメリカ領ならではのアクティビティとしてゴルフも楽しめる。
カリブ海東部にあるフランスの海外県であるグアドループは、小アンティル諸島の中に位置し、グアドループ島、パステール島、グランテール島からなる。明るくて人なつこい住民はクレオール(白人と黒人の混血)が多く、島内はフランス語が公用語である。県都はパステール島のパステール。グランテール島のポワンダピートルは最大の港町だ。かつては激しい独立運動もあったが、現在では平和な観光の島となっている。ゆっくりと流れる時に任せ、海や魚と戯れるのもいい。グアドループのクレオール料理(民族料理)も試してみたい。
セントマーチンの南東海上に浮かぶセントバーツはフランスの海外県で、25平方キロメートルのリゾートアイランド。カリブ海の宝石といわれる美しい島だ。首都はギュスタビア。澄んだビーチが22ヶ所もあり、シュノーケリングやダイビングなどのマリンスポーツの好適地である。コロンブスが発見した時、兄弟の名を取って「バーソロミュー」と命名した。1980年に入ってブームに火がつき、一気に観光地化した。フランスの海外県であり洗練されたフレンチレストランが充実している。
ウインドワード島に属し、ドミニカとセントルシアの間のトロピカルな花が咲く美しい島がマルティニークだ。カリブの他の島と同様に英仏などの植民地を経験し、多くの民族の混血により美人が多いことでも有名で、各民族の多様な文化を伝えている。1964年にフランスの海外県となった。原色あふれるカリブのパリといった趣で、欧米からの旅行者に人気の島。首都フォール・ド・フランスには人口の半分近くの20万人が住んでいる。画家ゴーギャンは、タヒチに渡る前に8年にわたってマルティニークに暮らしていて、作品の模写を展示しているゴーギャン美術館のほか、19世紀の奴隷解放運動を進めたビクトル・シェルシェールの蔵書を所蔵したシェルシェール図書館がある。島の南西部の半島に突き出た岬ポワント・デュ・ブーは、美しいビーチが魅力で幅広いマリンスポーツが楽しめる。レストランでは本格フレンチのほかカリビアンフードも出される。土産品には民族衣装やマドラスチックな人形、ラム酒などがおすすめだ。
プエルトリコの東側にある面積88平方キロメートルの小さな島国。島の中央部を境界として北側にフランス領(フレンチ・サイド)があり、南側がオランダ領(ダッチ・サイド)となっている。境界を越える手続きが無く、自由に行き来することが可能だ。オランダとフランスの両方の文化を味わえる世界でも珍しいリゾートである。フランス領の首都であるマリゴは、カフェやレストラン、ブティックが集中していて、フランスのリゾートという雰囲気がある。北のはずれには1786年に建てられたセント・ルイス砦があり、砦からは町を一望することができる。オランダ領の首都フィリップスバーグはTシャツや民芸品だけでなく貴金属、ブランド品などを扱うショッピングゾーンで品数も充実している。ビーチでのマリンレジャーをはじめダッチ・サイドにはゴルフ場もある。
ベリーズはユカタン半島の付け根、中央アメリカの東海岸に位置していて、北をメキシコに、西と南をグアテマラに接し、東はカリブ海に面している。英領ホンジュラスから1981年に独立した英連邦の国である。中央アメリカの諸国同様、マヤ系インディアンの文化遺跡が数多く残されていて、熱帯雨林が生い茂る国土には多様な人種と宗教が混在しているのが特徴だ。英連邦ということもあって欧米からの観光客が多い。首都は内陸部のベルモパンに置かれているが、ベリーズ最大の都市はカリブ海沿岸に位置するベリーズ・シティ。人口の25%が暮らしている。マナティの生息するラグーンやベリーズ・シティ沖合いのベリーズ・バリアリーフ上に連なるアンバーグリス・キー、キー・カーカ、キー・チャペルなどの島々、さらにカリブ海に浮かぶターネフ島、ライトハウス・リーフなどのカリビアン・リゾートがあり、ガン・フィッシングやダイビングのメッカとして人気だ。
カンクンは、メキシコ・ユカタン半島の突端に位置し、カリブ海に突き出た逆L字形をした砂州の上にある。カリブ海とラグーンに囲まれた幅400メートル、長さ22キロメートルの白い砂浜にホテルが建ち並ぶ、世界中に知られるリゾートだ。青い海に白い砂浜、輝く太陽の下のマリンレジャーだけでなく、カンクンの民芸品やハンドメイドの銀製品などのショッピングや新鮮なシーフード、ディスコナイトやエンターテイメントに趣向を凝らしたレストランなど充実したナイトライフが満喫できるリゾートだ。さらに、砂州の中ほどにマヤ文明を忍ばせるエルレイ遺跡があるほか、ユカタン半島最大の遺跡チチェン・イツァへの起点ともなっている。大自然と遺跡の対比やカンクンの人々の素朴さに触れるのも旅の魅力の1つである。
カンクンやコズメルをさらに南に下ったところに位置するのがコスタマヤ。驚くほど透明度の高い海と、美しい珊瑚礁に囲まれたカリブ海の楽園である。マヤ遺跡への入り口として賑わうが、リゾート地としては開発されておらず、昔からののんびりとした町並みが残っている。
ユカタン半島の沖合20キロメートルのカリブ海に浮かぶコズメルは長さ47キロメートル、幅14キロメートルの観光島だ。コズメルとはマヤ語で「ツバメの島」の意味。島の内陸部にあるマヤの遺跡めぐりの入り口でもある。美しいビーチに囲まれたリゾートアイランドは、水深45メートルの透明度を誇る珊瑚礁の海を目指して世界中からダイバーが集まってくるあこがれの島。島の中心はサンミゲールで、ハーバー、レストラン、スーパーマーケット、ダイビングショップ、ホテルなどが集中している。洞窟から海につながった独特の地形を生かしたチャンナカブ海洋公園の中にも、ダイビングやシュノーケリングが楽しめるスポットがある。マヤ文明とコズメルの歴史を知るには、ダウンタウンのコズメル博物館へ。島の内陸の南側にあるエル・セドラル遺跡は一番古い建物といわれている。内部に残されているマヤ時代の壁画は見ものだ。南端には白く輝くセラライン灯台が建っていて、360度のパノラマが楽しめる。コズメルではユカタン半島に伝わる伝統料理、メキシコ料理のほか、イタリアン、地中海料理も味わえるグルメにも満足できる店が多い。
カンクンから南へ65キロメートルのところに位置し、コズメルの対岸に当たる人口約2万人の港町がプラヤデルカルメン。ユカタン半島からコズメル島へ渡る玄関口としての性格が強く、あまり観光開発されていないところがかえって魅力の町だ。市内のメインストリートには、旅行者を相手にしたショップやレストランがあり、メキシカン・シーフードやテキーラが楽しめるにぎわいのストリートだ。対岸のコズメル同様、カリブ海に面しているプラヤデルカルメンは、白い砂浜のビーチが特徴で、ダイビングをはじめとしたマリンレジャーが楽しめる。市内を離れると高級リゾートがいくつも点在していて、ゆっくりしたバカンスを楽しもうという欧米のツーリストに人気が出ているスポットでもある。ただ、オプショナルツアーへの出発客を下ろすのが目的で、寄港時間は短いのが普通。
ユカタン半島西部のメキシコ湾に面した港町プログレソは、ユカタン州の州都メリダへのアプローチの港として、多くのクルーズ客船が寄港している。メリダは16世紀に建造された大聖堂と白壁でかこまれた町並みが美しく、南方にはマヤの遺跡ウシュマルがある。ユカタン大学には野口英世の銅像が建っている。