アデンはイエメンの首都がサヌアに移される前の首都だった都市で、アデン湾に面した国際貿易港として紅海を通航する船舶でにぎわっている。旧市街のクレータ地区は商店や露天が多く独特の雰囲気がある。日中は暑いので商店街に活気が出てくるのは日没後だ。岩山が続くイエメンの山岳地帯が町の背後に眺められる。イエメン東部マラト山脈にあるシバームは砂漠の摩天楼といわれている古代都市への出発地でもある。
アラビア半島の南東端に位置するオマーンの首都マスカットは、アラビア海からペルシャ湾への入り口だ。この立地ゆえ中世の頃から東西を結ぶ海上交易を通じて栄えてきた。また、マスカット周辺では古い遺跡が発掘されていて、古代歴史と近代都市の両面が楽しめる。港を見下ろす小高い丘にはマトラ・フォートと呼ばれる16世紀頃に建てられた日干し煉瓦造りの砦がある。マトラ・スークの市場には、銀製品の土産物や国の紋章になっている短剣(ハンジャル)や民芸品などが売られている。また、オマーンは中東を代表する乳香の産地でもある。
アラビア半島の南東に位置しているアラビア海に面した港湾都市。ドファールで発掘された石碑や陶器、伝統工芸品、民族衣装などが展示されているサラーラ博物館では、オマーンの昔の生活を知ることができる。海岸沿いにはアル・バリードという古代遺跡がある。サラーラ近郊にはカンラン科の木が多く見られる。乳香樹と呼ばれる木は、幹に傷をつけて流れ出てきた乳白色の樹脂(乳香)を焚くと芳香を放つもので、古代では神聖なものとされてきた。現在でも香水や医薬品の原料として用いられている。宝石や金はゴールドスーク(市場)で掘り出し物を見つけることもできるかもしれない。
ケニアの首都ナイロビから約500キロ南東の東海岸に位置し、インド洋に面した港町。赤道に近く海風が吹き寄せる高温多湿の気候が特徴。キリスト教徒の多いケニアにあってアラブ色が強くイスラムのモスクが目に付く町だ。400年前に建設されたフォート・ジーザスの砦がケニア民族の歴史を今に伝えている。「モンバサ」はアラブ語で「戦いの島」という意味がある。博物館には、1953年当時の大砲や弾丸が展示されている。ムバラキの墓は高さ15メートルの空洞の塔で、チャガム工族の長の墓と言い伝えられている。その昔奴隷貿易の拠点であったオールド・ポートには当時の「ダウ」と呼ばれる木造の帆船を見ることができるが、波止場一帯は撮影禁止なので注意が必要。内陸の国立公園や雄大なサファリへの入り口となっている。
アフリカ大陸南東沖のマダガスカル島との間のモザンビーク海峡に浮かぶ島国で1975年にフランスから独立を果たしている。グランド・コモロ、モヘリ、アンジュアンという三つの島からなる。首都はグランド・コモロにあるモロニだ。最東端にある現在もフランス領のマイヨット島を加えてコモロ諸島とも言う。近海には生きた化石といわれるシーラカンスが生息している。サン・テグジュペリの「星の王子様」に出てくるバオバブの木がたくさん生えていることでも知られる。首都モロイの旧市街には、15世紀に建てられたという町のシンボルである「金曜モスク」がある。市場には日用雑貨に混じって旧宗主国フランスの名残と思われるフランスパンも売られている。こうした古い史跡のほかに、近代的なカジノを備えたホテルが建ち並ぶビーチリゾートもある。ただし独立以来20回ものクーデターが起きているので、旅行者は安全情報に注意しなければならない。
アフリカ東海岸からおよそ800キロ離れたインド洋に大小150の島々からなる南海のパラダイスがセイシェル諸島。温暖な気候が特徴で一年中過ごしやすいリゾートとして世界各国に人気が高い地域だ。そのセイシェルで最大の島マヘ島には世界一小さい首都のビクトリアがある。南北に細長いマヘ島には標高905メートルのセイシェロワ山がそびえ、152平方キロの島に全人口の90%に相当する6万人が生活している。美しいビーチでリラックスしたり、ダイビングを楽しんだりしながら楽しむオレンジ色の夕陽は感動ものだ。また、飛べない鳥ホワイトスローレールなど、珍しい鳥をはじめ、色とりどりの鳥を観察するバードウォッチングもおすすめだ。
アフリカ大陸の西端に位置するセネガルの首都ダカールは、パリ・ダカールラリーのゴールとして世界的に知られている。市内には国家議事堂の隣にダカール美術館があり、セネガルのカラフルな色使いの民族衣装や奇妙な造形を施した仮面(マスク)などが展示されている。郊外へ約30キロメートル行くとラックローズの湖がある。海水より塩分濃度が高いため体が浮く。この湖はプランクトンの発生によるものらしいとされるばら色の湖である。発生時期によって色の濃さが変わる。また、ダカールからフェリーで10分の沖合いにあるゴレ島は、かつての奴隷売買が行われていた島で、当時のコロニアル様式の町並みが残されている。ゴレ島は世界文化遺産に登録されている。
タンザニアの首都ダルエスサラームの沖合35キロに浮かぶザンジバル島にザンジバルの港がある。アラブとアフリカが出会う場所であり、かつては奴隷貿易、象牙貿易の中心地であった。古代のイスラム宮殿の廃墟などが残されている。現在もアジアからアフリカへの貿易の窓口となっている。各地でインディアン・バザールが開かれていて、世界最大のクローブの市場もある。ペルシャ様式のハマムニ・バス近くに建つキリスト教大聖堂は、かつての奴隷市場の跡に建てられたもの。南方には城塞都市キジムカジがあり、シラツィ・モスク跡がある。市内をめぐるアクティビティには、香りと風味を楽しむスパイスツアーも行われている。クローブ、シナモン、ナツメグ、バニラ、カルダモンなど多くの種類のスパイスがある。ザンジバルには美しいビーチがあり、ダイビング、深海魚釣りなども楽しめるマリンパラダイスだ。
アラブ首長国連邦のドバイは、アラビア湾の南海岸に位置する。首長国の7つの国の中では2番目に大きく、中東きってのリゾートとして知られる。金を贅沢に使用し豪華を尽くしたホテルやリゾート施設の建ち並ぶ都市部、金や香料の並ぶ古くから続くスーク(市場)、自然味あふれる砂漠地帯などさまざまな魅力を持つ。
アフリカ大陸南部で、南アフリカ、アンゴラ、ボツアナ、ザンビアと接しているナミビアは、ナミブ砂漠の大自然への窓口となっている。大西洋に面したウォルビスベイは、比較的人通りがまばらな町だ。中心街にはホテルやバーなどもある。周辺の砂漠地帯にはいくつもの砂丘があり、中でもデューン7という形のよい砂丘は観光客に人気が高い。北部近郊スワコプムンドのケープクロスはアザラシのコロニーがあることでも知られている。エトーシャ国立公園は野生生物の楽園。アフリカの大自然が味わえるが、マラリアなどには充分注意したい。
アフリカ大陸南東沖のインド洋に世界で4番目に大きな島、マダガスカル島がある。モザンピーク海峡によってアフリカ大陸と隔てられていて独特の動植物相が見られるのがマダガスカルの魅力だ。マダガスカル本島の北端近くのアフリカ側にあるのがノシベ島で、海のきれいなリゾートとして多くの観光客を集めている人気の島。マダガスカルは1896年にフランスに併合されたが、1960年に独立を達成した。総面積は58万7041平方キロ。人口はおよそ1700万人。首都は国内最大の都市アンタナナリボだ。テレビCMで注目された横っ飛び歩行をするサルのシファカ、トルコブルーのカメレオン、甲羅の盛り上がったマダガスカル・ホシガメ、ワオキツネザルなど珍しい動物がたくさんいる。
インド洋に面した南アフリカ第3の都会がダーバンだ。海の玄関口ナタール港には1497年12月25日に喜望峰を発見したヴァスコ・ダ・ガマが寄港している。ヴァスコ・ダ・ガマ時計台は1897年、寄港400年を記念してポルトガル政府が寄贈したものだ。ナタール海事博物館には大航海時代以来の航海術の変遷を、いかだの復元模型や、その後の船の実物展示などで示している。市内で一際目立っているのがダーバン・シティ・ホール。ロンドンのセントポール寺院を思わせるドーム屋根を持つ石造りの建物で、自然科学博物館、美術館が入っている。インド洋に面したノース・ビーチからサウス・ビーチまでの6キロはゴールデン・マイルと呼ばれるリゾートビーチ。アミューズセンター、遊歩道、庭園、噴水があり、ファンワールドには子供に人気のゴーカートなどの遊園施設も揃っている。
1652年にオランダ東インド会社の補給基地として建設された南アフリカ第2の港町。南アフリカの本格的な都市の原点としてマザー・シティーと呼ばれている。海岸線から内陸に向かって坂の多い町で、背後には雄大なテーブル・マウンテンがそびえている。頂上が平坦な岩山である姿からそう呼ばれているもので、標高は1,067メートルあり、ロープウェーが頂上に運んでくれる。南アフリカ最古の建物といわれるのが五角形をした城壁を持つキャッスル・オブ・グッド・ホープだ。西ケープ陸軍司令部が置かれているが、一部は陸海軍博物館として公開されている。
マダガスカルの東約900キロのインド洋に位置しているモーリシャスは、ほぼ大阪府と同じ面積の国土に120万人が暮らしている。首都ポートルイスの港にあるコーダン(Le Caudan)は、モダンでお洒落なスポットだ。倉庫街をケープタウンのウォーターフロントをイメージして建設された。小物からブランド品や宝石まで揃うショッピングセンターには、高級レストランやファーストフード店もあって気軽に一休みできるのが魅力だ。ポートルイスから10キロに位置する総敷地11万坪のパンプルムース植物園には直径1メートル以上もあるアマゾン産の巨大ハスや60年に一度しか花を咲かせないというタリポットヤシがある。この植物園はフランス統治時代の総督が野菜畑として設置したのが始まりで、一見の価値ありだ。
中東ヨルダン唯一の港で、紅海への出口となるアカバ湾の奥に位置する港湾都市。物流の要衝として重要な港だ。またそれだけでなく美しい紅海の海を求めて世界中から旅行者が集まる高級リゾートとして人気が高い。ダイビング、水上スキー、パラセーリングなどダイビングスポーツのスポットになっている。国境を挟んで隣接するイスラエルのエーラトも国際的リゾートとして有名。アカバから白い街並みが眺められる。内陸へは砂漠の民ベドウィンの民族音楽とテントがいざなう。アカバから北東に30キロほど行くと赤い岩砂漠のワディ・ラムがあり、浸食された奇岩が見ものだ。