南米大陸の南東岸、ラプラタ川の河口に開けたアルゼンチンの首都ブエノスアイレスは、南米を代表する港湾都市。「南米のパリ」とも呼ばれるおしゃれな街並みが印象的な大都会。市内は碁盤の目に区画されていて、街歩きには最適な環境だ。市内の目抜き通り、5月大通りからサン・マルティン広場までの1キロにわたるフロリダ通りはブティック、レストラン、ギャラリーが集まるショッピングゾーン。大都会だけに見どころは尽きないが、中でも世界の3大劇場と言われるコロン劇場は圧巻。4000人収容の大劇場だ。イタリア市民が移住した古い港町ボカ地区は、アルゼンチンタンゴ発祥の地ともいわれている。現在では円形のボカ・ジュニアーズでにぎわう、サッカーの町へと変身している。
アルゼンチンの南東部、野生動物の宝庫であるバルデス半島に一番近い港町がプエルトマドリン。ヌエボ湾に面しているビーチリゾードで、リゾートホテルではカジノも楽しめる。町の中心にあるサン・マルティン広場近くの自然科学博物館では、パタゴニアの動植物について詳しく知ることができる。市の南へ約180キロ行ったプンタ・トンボにはペンキンの保護区があり、何万羽という数のマゼランペンキンの群れを観察できる。ヌエボ湾の先に突き出たバルデス半島は、半島全体が国立公園になっている。草地の半島ではグアナコ(ラクダ科)、ダチョウ、ヒツジなどがすれ違い、海岸ではゾウアザラシ、オタリア、ペンキンなどが見られる。夏の間はセミクジラが沖合に姿を見せる。
アルゼンチンの最南端のフエゴ島に位置しているウシュワイア。ブエノスアイレスから3250キロ離れ、南極からは1000キロの位置にあり、南極探検の出発拠点である。九州を一回り大きくしたサイズのフエゴ島の西半分はチリ領になっている。北側にマゼラン海峡、東に大西洋、南にビ−グル水道に囲まれている。町の中には海軍基地の中に元監獄と船舶博物館の2つの施設があって公開されている。マルティアル氷河はウシュワイアからバスで15分ほどの距離にある。山頂までスキーリフトで登ることができ、ウシュワイアやビーグル水道のパノラマが楽しめる。ティエラ・デル・フエゴ国立公園はいくつものハイキング・トレイルが用意された自然公園で、蒸気機関車「世界の果て号」が走っている。
モンテビデオ Montevideo<ウルグアイ>南米ウルグアイの首都モンテビデオは、太西洋からラプラタ川河口への入り口にある。肥沃で広大なパンパが広がる国土では牧畜や農業が盛んで、食肉加工や羊毛加工の製品輸出において重要な港だ。ブラジルとアルゼンチンの間という位置関係からスペイン、ポルトガル、イギリスの支配を受けた歴史を持つ。モンテビデオの旧市街の歴史を物語る静かなたたずまいを見せているのと対照的に、東側に延びるビーチはリゾート感を満喫できる明るい雰囲気。ウルグアイ伝統の牧童ガウチョの歴史をたどるガウチョ博物館植民地時代を知る博物館、市のはずれのモンテビデオ湾を見下ろす高台にあるセーロ要塞なども見どころ。夜はカジノでも盛り上がる。
南米大陸北西部、太平洋岸の赤道直下の国エクアドル。グアヤキル湾の奥まったところに人口200万人を超す港湾都市グアヤキルがある。首都は内陸北部のキトだが、グアヤキルはエクアドル最大の商業都市である。市内の見どころはなんといってもボリーバル公園。園内には放し飼いにされたイグアナがいる。また旧市街地には、16世紀に建てられた教会や、サン・マルティンとボリーバルの会見を記念した記念碑などが建っている。グアヤキルは、大陸沿岸から1000キロ離れた太平洋上に浮かぶガラパゴス諸島への出発地ともなっている。
南米チリの最北部、ペルーとの国境に近い港湾都市。古くからボリビアの銀の輸出港として栄えてきた。ペルー、ボリビアとは鉄道で、アルゼンチンとはハイウェイで結ばれている。美しいビーチは近年リゾート地として注目され、人気が高まっている。ラ・リセラ海岸のビーチは半島に囲まれた入り江になっていて、波が静かなのが特徴だ。南米の太平洋岸には南極からの冷たい海流が流れてくるため水温は低い。市内のシンボルであるサン・マルコス教会は、パリのエッフェル塔で有名なキュスタブ・エッフェルが設計に携わったもの。市内の南側にある高さ110メートルの岩山に作られたアリカ要塞も見どころ。
チリ最南端にあるホーン島にある岬。スペイン語ではオルノス岬という。太平洋と大西洋を分ける岬である。航海の難所といわれるドレーク海峡に突き出している。1616年にオランダのウィレム・コルネリウス・スハウテンが岬を回ったときに、生まれ故郷のホールンにちなんでホール岬と命名したという。ホール岬は強い風と荒い波で知られるが、ドレーク海が常に荒れているのは、南極大陸に近い海流は東風に吹かれるために半時計回りに流れているが、ホーン岬に近い海流では自転に伴う偏西風の影響を受けて時計回りに流れるため。さらに、温度が低く高密度の南極表層水は北に向かい、暖かい亜南極海流の下にもぐりこむ。この海域を南極収束線といって、南極50度から60度付近を帯状になって蛇行している。
南米大陸の太平洋岸に南北4329キロという長い海岸線を持つチリの首都サンティアゴから北へ約800キロに位置するコピアポは、19世紀に発展され銀鉱脈で大いに発展した町である。このコピアポと海岸部の港カルデラの間に鉄道が敷設され、さらに栄えた。カルデラ港にはリゾートとしてはそれほど有名ではないが、のんびりした文化に浸るのもよい。数年に一度砂漠一面に花が咲くという美しい景観に出会えるチャンスもある。
南米チリの首都。標高520メートルの場所にある大都会だ。海からの玄関口は、バルパライソ。1558年に大聖堂が建てられた。現在ではチリ・カトリックの総本山として多くの教徒が訪れている。旧市街の中心にあるアルマス広場の周辺には、市庁舎、国立歴史博物館、サンティアゴ博物館、旧国会議事堂などがあり、歴史的な建物が多い。サンタ・ルシアの丘はスペイン人の築いた砦であったが、今は緑地公園として整備されている。サン・クリスバルの丘には高さ14メートルの両手を広げたマリア像が建っている。
南米チリの首都サンティアゴから南へ約1000キロ離れたプエルトモントは、レロンカビ湾に面した港町。南米大陸の南部地方をパタゴニア地方と呼ぶが、チリ側のパタゴニアに属している。レロンカビ湾のアンヘルモ漁港は、海産物や民芸品を売る店が並びか活気のある一帯となっている。新鮮な魚介類を食べ、民芸品の土産を買う散歩コースはいかがだろう。フアン・パブロ2世博物館には、住民の暮らしの道具などが展示されている。人々の暮らし振りがよく分かる。近郊に出ると富士山そっくりのオソルノ山の美しい姿が見える。サン・ラファエル氷河へのツアーも出ている。
チリ南部パタゴニアの太平洋岸、複雑なフィヨルドの入り江の奥まったところに位置しているプエルトナタレス。人口2万人足らずの小さな町だが、パイネ山、ブルテイ山があり、パイネ国立公園内の自然を歩くトレッキングを目当てに観光客が訪れる。パイネ国立公園は面積1630平方キロメートルの自然公園で、草原地帯、落葉樹の森、ツンドラ地帯などさまざまな自然環境の中に広がっている。コンドル、クロエリハクチョウなどの鳥類、グアナコ、ピューマ、ハイイロギツネなどの哺乳類など、パタゴニア特有の生物分布が見られる。
南北に4239キロと細長いチリのほぼ中央に位置している首都サンティアゴから約120キロ北にバルパライソの港がある。プラット埠頭の近くには民芸品を売る売店や海鮮料理のレストランがある。チリ第一の港町だが、平地は港の周辺だけで、市内のほとんどは急な坂道や石段が続く丘陵地帯だ。港から見上げると丘の中腹に立ち並ぶカラフルな家並みはまるで絵のよう。1818年にスペインから独立して以降、貿易のためにホーン岬を回る船の燃料と食糧補給の基地として発展してきた。港から市街地へはアセンソールと呼ばれるケーブルカーに似た斜行式エレベーターが15カ所に設置されている。どれも100念以上経過されているという年代ものだ。国の記念物にされた「ポランコ・アセンソール」もある。
アルゼンチンの東方海上の南大西洋に浮かぶ英領フォークランド諸島の東フォークランド島にポートスタンレーがある。大小200の島々からなるフォークランド諸島の中心となるのは東西のフォークランド諸島である。1982年4月、アルデンチンが侵入してフォークランド戦争が勃発。およそ2カ月の戦闘の後、アルゼンチン軍が敗北しイギリスの領有が回復された。この歴史を探るポートスタンレーの戦場めぐりツアーも用意されている。ペンブルック岬には、19世紀に造られた灯台が復元されている。フォークランド島はオウサマペンキンやヒンズーペンキンなどの営業地もあり見どころとなっている。そのほかフィッシング、ゴルフなどのスポーツに4WDを使ったオフロード冒険ツアーなどアクティビティは豊富だ。
ブラジル北東部、アマゾン川の河口でマラジョー湾に面している港湾都市ベレン。人口120万人を擁するパラー州の州都である。昔から栄えてきた都会ならではの歴史的な建築物やコロニアル風の建物など見どころも多い。ナザレ大聖堂は、バチカンのサンピエトロ寺院を模したルネサンス様式の教会。毎年10月には50万人を超す巡礼者が訪れるナザレ大祭が行われる。2週間続く祭では参加者がサンバを踊り、アヒル料理を食べるのが習わしだ。ヴェル・オ・ペーゾマーケットは、イギリスでデザインされた建物で、ゴムで栄えた当時の面影を伝えている。ベレン地方の特産物や工芸品が並べられ、多彩な熱帯の果物、魚、民芸品を求める人々でにぎわっている。
ブラジル北部地域アマゾナス州の州都。大西洋に注ぐアマゾン川河口から1400キロさかのぼったところにある支流ネグロ川とソリモンス川の合流点から、さらに10キロ上流に位置する。外洋船も入れるのでアマゾン川流域では最大の港町だ。19世紀末には天然ゴムの景気に沸いたマナウスは、現在は観光と工業の一大拠点として発展を続けている。アマゾン自然科学博物館には、アマゾンの大魚ピラルクー、巨大なカブトムシ、珍しい蝶などが展示されている。インディオ博物館は、アマゾンに暮らしている多種族のインディオについて生活用具や狩猟用具などを紹介している。マナウスには高級なホテル、さまざまな国のレストランに地元のレストランも多く、多彩な食を堪能できる。貿易フリーゾーンでは免税店も買える。
ブラジルの北東部の端でもっとも大西洋に突き出た半島にレシフェがある。ベルナンブコ州の州都で、人口124万人を数えるブラジル第8番目の港湾都市。市内には運河と橋が多く「ブラジルのベニス」とも呼ばれている。サン・ジョセ地区の北側にある運河に面したレプブリカ広場は市民の憩いの場所で、観光の見どころが集中している一角だ。サン・フランシスコ修道院は、黄金をふんだんに使った祭壇があることから「黄金のチャベル」と呼ばれている。1982年に世界遺産に登録されたオリンダ歴史地区は、石畳の階段を上った丘の上にポルトガル人によって建てられたミゼリコルジア教会がある。ノルデスチ地区大教会、サンベント修道院などの歴史的建物と街並みが評価されたものだ。
ブラジル第2の大都会リオデジャネエイロは、ブラジリアへの都までの首都だった。グアナバラ湾に面していて世界の三大美港に数えられている。市の一方の山を背に、海岸に沿ってビルが建ち並んでいる景観は素晴らしい。高さ30メートルm¥のキリスト教が両手を広げて街を守っているコルコバードの丘や、巨岩が突き出たポンデアスーカルなど印象的な見どころが多い。リオの繁華街セントロ地区にはオフィスビルが建ち並び、旧市街には国立歴史博物館、国立美術館、私立劇場などがある。1976年に完成したカテドラルの外観はピラミッドを思わせる。高さ80メートル、床の直径106メートルで2万人を収容できる。リオデジャネイロの南方向に並ぶコパカバーナ、イパンエマ、フラメンゴ、ウルカなどの美しいビーチは日光浴を楽しむ人で、いつもにぎわっている。
ブラジル殖民地時代に最初に開けた港町サルバドールは、現在バイーア州の州都となっている。リオに首都を移すまでの200年間ブラジルの首都でもあった。旧市街地(セントロ)は高さ70メートル以上の切り立った崖で上町と下町に分けられている。崖はラセルダと呼ばれる大型エレベーターで結ばれていて人々は上町と下町を行き来している。旧市街のペエロウリーニョ広場には、サンペドロ教会や私立博物館が建っている。この旧市街地の町並み景観は1985年に世界遺産に登録された。下町地区には、民芸品市場があり、レースの民族衣装やテーブルクロス、楽器、人形、木彫りの彫刻など、みやげに向く物も多い。
南米大陸太平洋岸、アンデス山脈の東側に位置するペルーの首都リマの外港であり市街地でひと続きになっているカヤオは、ペルー最大の港湾都市である。カヤオ湾はサン・ロレンソ島により外洋の潮が迎えられている天然の良港。スペイン総治時代の長い歴史を伝える建築物が、市内の観光スポットになっている。
ペルーの首都リマから南東方向に位置するバラカス半島の付け根にある港町。ピスコは地上絵で有名なナスカ、ミニ・ガラパゴス島と呼ばれるパジェスタ島への中継地の港となっている。ナスカの地上絵は、乾燥した大地を覆っている黒い表面の石や砂を削り、白い地層を出すことで描かれている。ハチドリの絵で有名だ。バジェスタ島へは船で約3時間、フンボルトペンキン、アシカ、フラミンゴなどの自然な姿を見ることができる。