2003年2月28日(金)〜3月13日(木)14日間
石井 記代美様
「その日、夫は「オーロラに乗ることにした。」と何げなく言った。
「オーロラって何? 客船? 冗談でしょ! 赤ちやん連れで?」不意打ちをくらってビビった私は反対したが既に申込み済みだという。
息子は1歳5ヶ月。やっと離乳が完了してやれやれと思っていた矢先のことだ。よちよち歩きでいたずらするし、臆病ですぐ泣くし、もちろん礼儀もへったくれもない。おまけに私も母たる自分に自信がない。息子を連れて初めての旅行らしい旅行なのに、船では一旦乗ってしまったら目的地まで逃げようがないではないか。紳士淑女の方々に迷惑をかけてしまうに違いない。
「なんとかなるよ♪」とまるで緊張感のない夫にムカつきながら、ひとり清水の舞台から飛び降りるような気分で横浜を出発した私だった。
実際に乗ってみると息子は常時元気で上機嫌。5〜7メートルの波の中でも食欲は旺盛だった。ワールドクルーズということもあってご年配の方が多く、日本人の子供へのもの珍しさも手伝ってずいぶんたくさんの方に遊んでいただいた。
船内には「トイボックス」という託児施設もあり、スタッフの若いお兄さんたちや子供たちに遊んでもらった息子は大喜び。オーロラでは毎日子供向けのイベントテーマが設定されていて、もう少し息子が大きければもっといろんな楽しみ方ができただろう。
レストランではどこでも子供用の椅子がすぐに用意され、キャビンでもベビーベッドを用意してもらうなど乗船前の心配はどこへやら。街中を観光する海外旅行と異なり、小さな子供の安全面でも船旅はオススメだと思う。私もいつのまにか不安を忘れ、久しぶりにのんびりと読書もできた。読書って贅沢だと思った。
メいっぱいビビりながら出発した船旅だったが、帰ってきてみると私はとても元気になっていた。その後もおろおろしながら育児をしているが、次回はちょっとだけ強気で子連れクルーズができそうな気がする。