2003年3月13日(木)〜3月26日(水)14日間
藤沢市在住 木戸 正雄様
イラク攻撃が始まることが確実とのニュースが流れ知人たちより「こんな時期に海外旅行」なぞと半分冷かされ、運を天に任せる気で参加したカナリア諸島を中心としたクルーズから帰りホットした気分でペンを走らせている。
2週間ほど前に見た地中海の夕陽はもう夢の出来ごとのようだ。エキゾチックな魔法の国モロッコを後に、北アフリカの西方、麗しのカナリア諸島へ。飛沫をあげる船首の先に新しい町が見えるのは夜明の地だ。
碧い海と空に抱かれた幸福な13日間。船旅の魅力は一人静かに海風に身を任せる至福の一刻に凝縮されるのだろう。PTSクルーズ・クループの外に2クループが日本より参加して合計約80人の日本人の乗船クルーズだが1500人もの全乗船人員の中では日本語の会話も余り耳に入らず囲りはイタリア語、ドイツ語、スペイン語など色とりどりの国際語ばかりの世界。さすがPTSグループの皆さんの殆んどがクルージングに慣れた人達でフォーマルドレスのパーティなどには「さすが」と思われるエレガントな装いで参加されて、囲りの外国人たちと談笑されている姿は誠に感服の至り。
私たちは合計8人グループで参加。若い現役時代は海外生活や商用に世界中を走り廻っていた方たちだけに話題は豊富。ディナータイムにやっと全員を合せて、参加したイベントやオプショナルツアーの印象や失敗談に華が咲き、時のたつのを忘れて腹を抱えて笑いこぼれる。
「イタリア人のダンディな紳士に恋を囁かれる」 のを夢見て来たK夫人は、プールの傍で大腹を上に向けてゴロンゴロンしている連中に大失望した由。日本ではシーズンオフなのにワザワザ伊勢丹デパートで高価な水着を買い求め、クルージング中にプールで泳ごうと張切って来たのにあれでは恥ずかしくて水着などにはとても着替えられないと嘆くことしきり。
乗船後2〜3日目からディナータイムはアチコチのテーブルで“Happy Birthday”の大声が流れ始める。大きな特製ケーキをもって、サービスのボーイ達が大声で歌いながらやって来て誕生日を祝ってくれる。結婚記念日だとかハネームーン記念など内容はおかまいなし“Happy Birthday”で片付けてしまう。満腹のおなかにはケーキの一片も入らないがそれでもお祝の為に祝盃を挙げるイタリー的な陽気なサービスぶりである。
日中には各種のスポーツのゲーム大会が開かれる。ピンポン・ダーツ・ミニゴルフ・テニスそしてダンスなど。国際試合になるから各々のグループの応援団の大声に真剣にならざるを得ない。私の家内はピンポンで私はテニスで各々準優勝。“コスタ”特製のスポーツ帽を記念に頂いた。
そして最後の一日、マラガよりジェノバへ向い一日のクルージングの最終イベント−“タレントショー”がある。PTSの添乗員の滝本さんの薦めで勇気を振って参加した「旅の恥はかき拾て」とばかり、日本で趣味に習っているカンツォーネを披露することにした。