2001年5月22日(火)〜5月29日(火)18日間
本社クルーズデスク/宮本 哲秀
5月22日から6泊8日の日程で、タヒチとフレンチ・ポリネシアクルーズという事で、ラディソンセブンシーズクルーズ社所有のポール・ゴーギャンに乗船致しました。
私自身、非常に貴重で楽しいクルーズを体験し、この楽しかった体験を皆様へお伝えすると共にタヒチへのクルーズをもっと身近に判りやすく、乗船記という形でお伝えできればと存じます。
2001年5月22日、成田空港から航空機にてタヒチの首都パペーテにあるファアア国際空港へ到着した。到着が午前3時にも関わらず、バニラの花を手渡され、地元のポリネシアン達がタヒチアンミュージックで我々を出迎えてくれた。これから最後の楽園、タヒチへの旅が始まる。
ホテルにてブランチ後、パペーテから航空機にてモーレア島を経由しボラボラ島へ向かう。ボラボラ空港到着後、ヴァイタペという港までシャトルボートに乗船。ボラボラ空港とボラボラ港は完全につながっており、乗り継ぎも非常に楽で簡単だ。出港して約5分。徐々に沖止めされている「ポール・ゴーギャン」が見えてきた。シャトルボートがヴァイタペに近づくに連れて、ポール・ゴーギャンが大きく視界に入る。早くに乗ってみたい。高揚する気持ちを抑え到着を待つ。ボラボラ潜より約10分、ヴァイタペ港へ入港した。
ヴァイタペ港から更にテンダーボートを利用し約10分。憧れのポール・ゴーギャンへの乗船である。
乗船して一番驚いた事は、ラーディソンセブンシーズクルーズ社が所有するソングオブフラワー(元川崎汽船所有)の影響もあるのだろうか、ある程度のクルーが片言ながら日本語が話せるという事である。さらに、ラグジュアリーシップでありながら、服装はオールカジュアル。それに加え、靴もサンダルでOK!(当然、夕食時はNGですが)堅苦しいイメージも無く、スタッフもみんな明るくフランクに話し掛けてくれる。
今までクルーズと言うとフォーマルが何回あって、インフォーマルが……など服装に気を使い、荷物が多くなるとか、行きづらいというイメージが付きまとったと思います。
しかし、この船に関しては全くその心配が無いので、クルーズ初心者の方やクルーズに興味はあるけど前記の様な事で、行きつらいイメージをお持ちの方々へ自信をもってお薦めできる船だと感じました。
このツアー初めての夕食は、ポール・コーギャンで取る。この船にはフランスの2つ星レストランシェフが乗船し、腕を振るっているとの事。とても楽しみだ。
早速メニューを見てみると、「UDON」や「TENPURA」の文字がある。これは驚いた!スタッフに聞くと、我々日本人グループが20名乗船している事と、初日なのでとの事でスペシャルメニューを用意してくれていた。この気遣いも嬉しい限りである。しかし、うどんや天ぷらはいつでも食べる事ができるので、今回はシェフのおすすめメニューをいただいた。
まずは、ワイン。フランス船籍の船だけに赤・白ともにワインがとてもおいしい。ポール・ゴーギャンでは、Bar以外での飲物は基本的には料金がかからない。お酒も勿論なのだが、こんなに美味しいワインがタダでしかも飲み放題なんて、きっとワイン好きの方は軽くボトル1本空けてしまうのではないのでしょうか?前菜、スープ、サラダ、デザートと運ばれてくる全ての食事が本当においしい。量もかなりのものだ。メイン料理が運ばれてくる。私は、滅多な事では食事を残さないのだが、メイン料理を残してしまった。これは口に合わないという訳では無く、メイン前の食事でお腹がいっぱいになってしまったのだ。これから船での夕食時を迎えるごとに「太ってしまうのかなぁ」など余計な心配事が増えてしまった。
レストラン内はやはり、ネクタイやドレスアップしている人は皆無で、ポロシャツやエリの付いたシャツにズボンといった服装だった。
10 時30分発のヴァイタペ港へ行くテンダーボートに乗船。今日はどうしてもヴァイタペ港周辺と、ボラボラ島内を見て回りたかったので、自転車を借りた。まだ朝の10時30分とは言え、タヒチの朝は少し暑い。ただ、日本と違い湿気がないのでとても清々しく感じる。青い空に灼熱の太陽。エメラルドグリーンの海と、大きくそびえ立つ原生林の山々。一本の細い道を島の北を目指し、自転車のペダルを漕ぐ。車の通りもそんなに無いので、サイクリングをするには本当に最高だ。
さらに北へ進めると、ポール・ゴーギャンが正面にあり、その横手には雄大な山と、周りにある大自然達が見事にマッチした景観に出くわす。早速、自転車から降りて写真を撮る。足元には透き通るきれいな青い海。上を見上げると青い空と白い雲。そして大きなヤシの木。向こう岸には水上ハンガローも手に取る様に見る事ができる。真正面には周りの自然と見事に調和した美しい客船「ポール・ゴーギャン」がタヒチの海に居座っている。こんな世界があるのか…私は思わず美し過ぎる光景にため息が出た。
この日の夕方6時、ボラボラ島からモーレア島に向けて出港である。私は、ボラボラでわずかに過ごした時間を名残惜しむ様に、最上階のデッキからボラボラ島を眺める。
この日の夕方6時、ボラボラ島からモーレア島に向けて出港である。私は、ボラボラでわずかに過ごした時間を名残惜しむ様に、最上階のデッキからボラボラ島を眺める。
南半球で見る夜空は、南十字星と天の川がいつでも見る事ができる。日本では星を見る機会など全く無いのに、デッキから眺める夜空と星はとてもキレイでロマンチックである。
無限大の夜空と星は、普段の生活に無い開放感と安心感と優越感を教えてくれる。私はこの夜空を首が痛くなるまで、ずーっと眺めていた。
いよいよというかやっと、船内のどこに何がある。というのが判ってきた。こうなると船旅の楽しさも倍増である。
昼頃に最上階のデッキに上がった。この日の正午にはモーレア島に入港するのだ。(入港といっても、沖止めだが……)入港するにあたって船内の女性スタッフが、いかにも南国ムード漂う民族衣装を身にまとい、タヒチアンミュージックとダンスで我々を盛り上げてくれた。この日は、これまでにない最高の天気である。ボラボラとはまた違った景観ではあるが、真っ青な空に、ボラボラ同様のキレイな海。無数のモトゥに水上バンガロー、そして大自然の山々…雄大な景色が我々を出迎えてくれるような、そんな感じさえした。
昼食を終えて、テンダーボートにてモーレア島に渡った。途中、テンダーボートの乗り口で、船内スタッフ数人がかりで1匹の大きなマグロらしき魚を運んでいる。この近辺で釣り上げたのだろうか?
10分もしない内にテンダーボートは、モーレア島のオプノフ湾に着いた。港周辺を観光しようと来たのだが、残念ながら周りには何も無かったので、また船に戻る事にした。テンダーボートを待っている間、カメラを片手にしている私に対して、現地の方々が話し掛けてきた。どうやら写真を撮って欲しい様である。写真を撮ると、嬉しそうな表情に驚いた。なんて人なつっこい笑顔を作るんだろうと。そして彼らには、太陽の様な明るさも持ち合わせている様にも見える。日本人の我々にはマネする事ができない屈折の無い笑顔と底抜けの明るさ。彼らの笑顔を見ているだけで、なぜだか優しく幸せな気持ちなってしまう。
夕食後、今日もデッキから星を眺めた。モーレアで見る星もとてもキレイだ。しばらく眺めていると、スッーと星が動く。流れ星だ。私は、生まれて初めて流れ星を見た。1時間も夜空を眺めていると数回の流れ星を見る事ができて、興奮と感動でその夜はなかなか寝る事ができなかった。
この日は、目覚めたらすでに9時を過ぎていた。この際思いきりのんびりしようと、プールサイドのデッキで日光浴を楽しんだ。プールサイドのデッキチェアーで横になり、1人でのんびりと過ごすのも船旅の良いところである。最高の贅沢だと身を持って感じた。このまま時間が止まればいいのに……迫り来る帰国日と日本での忙しい毎日が頭をよぎった。今日の18時にはパペーテに向け出港である。そろそろ、このポール・ゴーギャンと別れが近づいてきてしまった。
出港時間になると、ボラボラから出港した時同様にデッキに上がっていた。見渡す限りの海と大自然の山々、そしてポール・ゴーギャンで過ごした日々を思い出しながら、どんどんと離れて行くモーレア島を眺める。またきっと、ここへ来ようと胸に秘めレストランへ向かった。ポール・ゴーギャンで取る最後の夕食である。船内で過ごした楽しかった様々な事やボラボラ島、モーレア島であった出来事をみんなで話しながら食事を取った。話しが終わらなかった。というより、誰も終わりにしたくなかったのだろうか。そんな感じがした。
食事を終えると、もうすでにパペーテの港に入港していた。港ではルロットと呼ばれているタヒチ名物の屋台が何十軒と軒を連ねていた。
今夜はタヒチアンダンスショーが開催される。タヒチアンダンスを見るのは初めてであったが、踊り子達は本当に楽しそうにダンスを踊っていて、見ている私達も楽しく感じてしまう。私達は彼女達の踊るダンスと迫力ある音楽に魅了し、見入ってしまっていた。しばらくすると、民族衣装を観にまとった男性達が踊りに参加する。次々と踊りが激しくなり、いよいよクライマックスである。たいまつを口で挟み、両端に火を付ける。船の中なのにファイアーダンスなど大丈夫なのだろうか?
緊張の一瞬である。ひとつ間違えれば火事になってしまうのだが、ものの見事に成功である。最後のフィナーレは、船内のスタッフ全員がステージに勢揃いで、フェアウェルソングなのだろうか? 我々に歌をプレゼントしてくれた。彼らもまた楽しそうに、嬉しそうに歌を唄っている。我々との別れなど悲しくないぐらいに……しかし、楽しいショーだった。ショーを終えて、船内から港を眺めていると、未だにたくさんの人で賑わっていた。とりあえず、見に行ってみようとパペーテの港に降りた。 早速、ルロットを見に行くと様々な屋台があり、中華料理・イタリア料理・ステーキ・ピザ・クレープなどなど、美味しそうな匂いがあたり一面広がっていて、たくさんの人が訪れていた。
パペーテの港はボラボラやモーレアと比べ、とても賑やかである。日付けを変わった深夜になっても、ネオンがギラギラしていて、妙に都会的な感じがした。船内での最後の夜は、最上階のデッキで過ごした。日付けが変わっても、まだまだ明るさが残るパペーテの港と夜空を眺めながら、眠りについた。
とうとう下船する日を迎えてしまった。可能であれば、もっともっと乗船していたい。
そんな気持ちを抑えて、ポール・ゴーギャンをあとにする。下船して、改めてポール・ゴーギャンを眺めてみた。この美しく色鮮やかな船は、また今日も新たな人々を乗せてタヒチの島々を巡るはずである。
この貴重で有意義な日々をありがとう、ポール・ゴーギャン。そしてさようなら。